ふらっといしり調査隊

 

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いしりって何?

 

いしりは能登半島に昔から伝わる魚醤油です。地域によってはいしりとかいしる、またはよしるなどと呼ばれていますが、イカを材料に作る能登町ではいしりと言われており、いを(魚)じる(汁)やイカ汁からきているという説が有力です。輪島や門前ではいしるやよしると呼ばれることが多いです。能登は世界農業遺産に日本で初めて認定されましたが、その中でもいしりを代表とする発酵する技術も世界農業遺産として認定されています。魚醤油とは、大豆から作られる醤油ではなく、魚貝類を原料にした調味料です。その魚醤油の中でも日本の三大魚醤と言われているのが、能登のいしり、秋田のしょっつる、香川県のいかなご醤油です。その中でもダントツの旨味を誇り、三大魚醤中でもっとも生産量が多いのが能登のいしりなんです。他の国ではタイのニョクマムやベトナムのナンプラーが有名ですが、いずれもいしりの旨味にはかないません。10

 

 

いしりの歴史

いしりは能登で古くから作られていて、能登半島ではお醤油よりも歴史が古いと言われています。原料は主に能登町がイカ、輪島や門前がイワシやさばを原料とするのが伝統的ないしりです。いずれも、材料はそれぞれですが、共通するのは塩しか使わずに発酵させるという日本でもっとも古い発酵方法と言われています。冬の寒い時に、いかのごろ(内臓)や鰯または鯖を塩で漬けます。能登の寒い冬と湿気の多い梅雨、そして暑い夏という自然条件の中で一年以上発酵させます。次第にごろ部分とでてきた水分が分離し、ゴロが上にたまり下の液体部分がいしりとなります。

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文献では藩政時代にはすでに献上品としての記載がありますが、能登の発酵の歴史という意味では醤(ひしお)漬けなどが千年以上前の文献からも見て取れます。

『漬ける技術の歴史は古い。平安時代の「延喜式」(905年-927年)には、醤(ひしお)漬けや汁糟漬けなどが都に上納されていたという記述が見られる。前者は、魚の塩辛に漬けたもの、後者は、どぶろくをろ過した残りのかす、すなわち酒粕に漬けたものである。このように、現在でもほぼ変わらない製法で受け継がれているものもある。』世界農業遺産「能登の里山里海」情報ポータル>伝統技術>農産物や海産物の加工技術>漬ける、発酵する技術より抜粋

1000年以上前から魚貝を使った発酵食品を作っていた、能登の発酵文化の歴史は長く、そして、多種多様な発酵食品が現在に残っている特別な地域として残っていることが、発酵王国と呼ばれる所以でもあります。

他の能登ならではの魚の発酵食には、祭りに食べる「ひねずし」(鯵をご飯でつける寿司の原型)や「こんかいわし」(イワシのぬか漬け) 「こんかさば」(鯖のぬか漬け)などがあり、今も昔ながらの方法でつけられています。20

 

ふらっとのいしり 父、能登の一品

ふらっとのいしりはイカと塩だけで、日本最古の発酵方法といわれる、自然な方法で発酵させるいしりづくりを行なっています。3年間寝かせて1回しかしぼらない、こだわりの1番いしりは父から受け継いだ製法です。父が唯一のいしり作りでふるさとの匠に認定されており、現在は娘婿BenjaminFlatt,娘船下 智香子、孫船下智の3人でふらっとのいしりをつくっています。IMG_3920.JPG

ふらっとのいしりは世界農業遺産の実行委員会が選定する、能登の一品にいしりで唯一選ばれています。(写真)能登の一品は世界農業遺産「能登の里山里海」で育まれ、世界農業遺産の保全・継承に資する商品を界農業遺産未来につなげる「能登」の一品いっぴんとして認定、「能登の里山里海」の認知度の向上と地域の活性化を図るために認定さてれいます。

また、ふらっとのいしりのデザインはANAのデザインなどを手がける
株式会社KUZE DESIGN 久世迅さんがデザインしてくださっています。ISIRI_DSC6083.jpg

 

海外でも注目されるいしり

いしりは、日本はもとより世界でも注目を集める調味料となっています。世界のトップシェフたちがいま、注目しているのは旨みです。

2018/2ニューヨークのフレンチトップシェフが来店いしりを初め能登の食文化の視察(写真)

2017/4 オーストラリアにて日本の食文化ドキュメンタリーマギーインジャパン

2016 世界一のレストランに選ばれたコペンハーゲンのノマの日本の発酵マップに掲載

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いしりが紹介されたメディア


翼の王国

新幹線の本20

いしりの使い方といしりレシピ

基本的には醤油と同じ使い方で大丈夫ですが、結構塩分が強いので、お醤油の半分ぐらいで使ってみてください。特徴は、醤油の2倍以上の旨み成分と魚介由来の力強いパワー。能登で言われている合口のお野菜は、ナス、大根、じゃがいも。魚貝では白身のお魚や、もちろんイカがぴったり。お肉も鶏、豚、牛すべていけます。

簡単ないしりの使い方をご紹介します。

刺身にーお醤油ほどべったりつけず、お魚の先にちょんと

漬物ーいしりで作ったお漬物をべんづけと言います。どんな野菜でも食べやすい大きさに切って、ちょっとのいしりでからめて、軽く重しをして数時間置くだけで美味しいお漬物が簡単にできます。いしりだけで旨みたっぷりですが、昆布を一枚入れるだけでさらに旨みアップ。お特に干した大根をいしりでつけて炭火で焼いて食べるのは、能登ならではで、べんこうこといいます。

お鍋ーいしりの貝焼きが一番有名な能登のいしりなべです。昆布だしに10%ほどのいしりを入れ、季節のお野菜や魚介を入れて

干物ーさっとくぐらせて干すだけ

チキンーいしりを塗ってグリルで焼くだけで、サラダを乗せてお手軽ワンプレートランチ。小さく切ってシーザーサラダ、アボガドと一緒にパンに挟んでサンドイッチに。骨つきのチキンで出汁をとっていしりを入れるとフォーのスープに。

チャーハンの隠し味に、炒め物、ラーメンの

焼肉のタレ、キムチの味付けに

能登の郷土料理、イタリアンのレシピはふらっとのレシピ本「いしりと能登暮らし」で。

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ふらっとでは2018年8月いしりと能登暮らしという本を出版しました。

季節の中で能登の暮らしのエッセーと12ヶ月分のいしりのレシピが毎月1つずつ載っています。

発酵学の権威小泉武夫先生が「天下無敵のふらっとのいしり」というお言葉をくださいました。私たちは、この、いしりを後世につたえたい!そして、
昔ながらの、素晴らしい能登の伝統、文化を未来に繋げたい!
と言う思いで、この本を作りました。
オーストラリア人の主人が作る独創的なイタリアンのレシピと、
簡単ですぐにできる能登の郷土料理を月ごとに12ヶ月掲載しています。

写真は、能登では当たり前の、何気ない、でも美しい日常を
金沢在住のフォトグラファー湯浅啓さんが1年をかけて
撮影して下さいました。

湯浅/啓
1968年、金沢市生まれ。中学時代より鉄道写真を撮り始める。大学卒業後、サラリーマン生活を経て、1995年よりフリー・カメラマンとして活動を開始。「能登線日和」「能登線憧景」「のと鉄道」出版15

いしりQ&A

保存方法は?

常温でも大丈夫ですが、キッチンが高温になる場合は冷暗所に保管ください。

賞味期限は?

ふらっとのいしりは1年です。

どこで買えるの?

ふらっとのいしりはふらっとのみで販売しています。発送も可能です。ふらっとショップでご注文いただけます。ふらっとのレシピがのっているいしりと能登暮らしは県内の書店などで販売しています。うつのみや、千間書店、いろは書店など。

いしりを使うコツは?

気軽に使ってみてください。ちょっと少なめで、炒めものやカレーなどに使うのが手始めにはいいかもしれません。よかったら、いしりと能登暮らしのレシピを試してみてください。