私は、小さな頃から祖父母が「さんなみ」という宿をやっていて、美味しいものや楽しいお客様に囲まれて育ちました。両親は父が「いしりの匠」母が「おかみさん100選」の最初の10人に選ばれており、ずっと、郷土料理や発酵食に囲まれていました。そんな私ですが、オーストラリア人の主人と結婚することになり、シェフをしていた主人と1997年にふらっとという宿を始めることにしました。
主人が約30年前に能登に来てから、能登の美味しいもの、発酵食などをワクワクしながら知っていき、学び、作り始める様子を見、共に経験しながら私も学んできました。今では、主人はいしりなどの能登独自の発酵調味料はじめ、色々な発酵食、郷土食、保存食を作るまでになり、地元のおばちゃんたちと作り方を話し合ったり、また、今年は、そのような知恵を本にまとめる活動を始めています。
能登では2024年に大地震が発災し、今もまだ、復旧さえしていないところも沢山あります。私たちは能登の食や伝統を未来へつなぐプロジェクトを中心として活動する、一般社団法人能登地震地域復興サポート(通称のとサポ)を2024年2月に立ち上げて、発災直後から、人々の命や暮らしを守るお手伝いをし、食文化や伝統をつなぐ努力を重ねています。
私たちが感じるのは、どんなに大変な思いをしても、大変な災害にあっても、揺るぎない能登の人々の優しさや強さ。今まで大切にしてきたものがどんなに貴重で、私たちの暮らしがどんなに恵まれていたのか。美しかったのか。
私たちの望みは、沢山の人にこんな素晴らしい能登を見てほしい。こんな困難の中でも、災害から立ちあがろうと頑張る能登の姿を見てほしいということです。
だから、遠慮なんかせずに、能登に遊びにきてください。
美しい海、優しい人たち、美味しい食がお客様をお迎えします。